おひとりさま時間 |
ひとりで暮らすようになって、約一年。 実家にいるときは家事を全くと言うほどやらなかった私がこうしてひとりで小さな家で生活しているのだと実感し、ときどき自分を褒めたくなります。
毎日生きることで精一杯だった一年前も、今はお風呂を真っ暗にしてクラシック音楽なんかかけて、日常にゆとりを与えるようなことも。
なんだかんだでひとりの生活に慣れ、だんだんと、楽しみを覚えてきました。
最近一人でいろいろなところにいって、やりたいことをする、ソロ活をよく行っています。これから、私が幸せだと感じたひとときを紹介したいと思います。
・映画×ひとり 私が観たいと思う映画はほかの人にとっては興味がないものが多くて、ひとりで行く勇気もなく、気づいたら上映期間が終わってしまっていた。なんてことは高校時代までの私にとっての、あるあるでした。山形に来てからふらっとひとりで映画を観に出かけてみると、なんとも至福で。気になる映画を見逃してしまうこともほとんどなくなりました。平日に行けば、たまに大きなスクリーンをひとりじめすることもできます。エンドロールが流れている時間が、私は一番好きです。目を閉じて音楽に耳を傾けると、まぶたの裏に映画の、あのシーンやこのシーン、今まで忘れていた自分の体験が鮮明に映されるのです。あたかも自分の瞳の中で、また新しい映画が始まったかのように。観賞後、いっしょに観た人と語り合うのも、気持ちを共有できて楽しいけれど、ひとりだと瞳の裏で始まった映画が、自分の思うまま、気が済むまで上映できるのです。
・一人旅×ひとり 旅にも行きました。といっても交通機関を使って1時間で行けるような、すぐ近くのところ。けれど初めてひとりで訪れたその場所は、きらきら光って見えました。気になる場所やお店を調べて、スマホの地図にも載ってないような、お洒落な喫茶店に入る。慣れない椅子に座って、そわそわしながらチーズケーキとロイヤルミルクティーを、あたかも常連さんかのようにいただきました。方向音痴で、もう一年も通っている歯医者へ行くのにもナビを頼らないとたどり着けない私が、知らない土地へひとりで来たらもう大変。バスの運転手さんやアーケードで服を売るお店の人、色々な人に聞いて回り、場所を、行き先を聞くのです。話す人話す人がみんな一様に優しくて、そのぬくもりだけでもここにきて良かったと思えました。
・サウナ×ひとり サウナは、山形に来てからハマったもののひとつです。熱い密室の中で、限界に近いところまで自分を追い込む。そうすると、さっきまで頭の中に渦巻いていた、どんな悩みごとも忘れられるのです。そして水風呂に入り、だんだんと肌に薄い膜のようなものが張られていく感覚になっていったら、最後は外気浴です。外に出て椅子に座る。すべての力を椅子にあずけて、目をつぶって、「なにも考えない」ということに集中すると、ふわふわした感覚に包まれて、自分のからだが回り始めるような感覚になるのです。この瞬間が最近よく耳にする「ととのう」という状態で、言葉にも表すことができないような、体験しないとわからない、なんともしあわせな気持ちになるのです。サウナの醍醐味は、ととのったあとのご飯にもあります。銭湯の券売機で中華そばを注文し、啜る。サウナに入ったあとは感覚も研ぎ澄まされているような気がして、だからこそ美味しいラーメンが一層おいしく感じて。熱々のラーメンを勢いよく啜ったあまり、火傷してしまった舌を、外の冷たい外気で冷ます。そんなちっぽけだけど幸せな時間を堪能できるのも、ひとりのいいところです。
友達と、家族と、何人かで遊んだりどこかに行ったり。もちろん楽しいし、大好きだけれど、ひとりは今この瞬間をめいっぱいひとりじめできる贅沢があります。自分の好きなように行きたいところへ赴くまま行けるし、疲れたら、疲れなくても、自分の好きなタイミングで立ち止まっていい。しゃがんで地面に小さく咲いている花にも気づくことができる。その花をいつまでも見ていても誰にも咎められない。
ひとりで行動するって、怖いだとか、寂しいだとか、人によって色々な捉え方があるかもしれないけれど、一度動いてみると、時間の流れがいつもよりゆっくりに感じたり、いつもと同じはずの視界がなにかすこしだけちがって感じたりするかもしれません。
次は動物園に行ってお気に入りの動物をみつけて、その愛くるしい姿を心ゆくまで見ていたいです。 |
鈴木 宥佳 ありのままコラム コラム一覧>> |
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