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■ 東北ウーマンインタビュー


憧れの日本で働く夢を叶えて、また次の夢へ

憧れの日本で働く夢を叶えて、また次の夢へ
山形グランドホテル ラ・セーヌ勤務 ティファニー・オクタビアさんインタビュー

ティファニーさんは2013年9月大学生の頃に初めて来日。現在は山形市内のホテルのレストランでウェイトレスとして働いています。なぜインドネシアから飛行機で約7時間も離れた日本で働くことを選んだのか、日本への熱い思いや、今後の夢についてお伺いしました。
ティファニーさんの出身地であるインドネシアの首都、ジャカルタから山形までは約4,000㎞。飛行機を乗り継いで7時間以上かかります。インドネシアは観光地としても日本人に人気なバリ島を擁する、年間を通して温暖な国です。
母国・インドネシアから日本へ
長瀬 ) どんなお仕事をされていますか?

ティファニー ) 山形グランドホテルの1階にある、ラ・セーヌというレストランで働いています。主に給仕の仕事です。

長瀬 ) ウェイトレスですね。ご出身はどちらですか?

ティファニー ) インドネシアです。

長瀬 ) バリ島のあるところですよね?私、小さい頃に行ったことあります。いいところですよね。

ティファニー ) そうです。私の出身はジャカルタで、バリ島からは2時間くらいかかります。

長瀬 ) バリ島がインドネシアという国の中の島だと知らない日本人も多いですよね。

ティファニー ) そうなんですよ。知られていないのはとても悔しいです。

長瀬 ) インドネシアの中では、日本は身近な国なのですか?

ティファニー ) そうですね、身近だと思います。日本人は観光でもたくさん来ますし、住んでいる人もたくさんいます。日系企業もたくさんあります。ラーメンや寿司もメジャーです。アイドルグループのJKT(ジャカルタ)48も有名です。

長瀬 ) JKT48!そういえばありましたね。お寿司も食べるんですね。

ティファニー ) でも寿司のネタはあまり多くないです。私がお寿司屋さんで主に食べるのはサーモンです。

長瀬 ) 生のまま食べる魚って、そりゃ最初は抵抗ありますよね。

ティファニー ) ありましたね。でも今はお寿司屋さんによく行きますよ。

長瀬 ) それを聞いて嬉しいです。ティファニーさんは日本に来てもう長いのですか?

ティファニー ) 2年半くらいですね。

長瀬 ) 日本語とてもお上手ですね。

ティファニー ) お陰様で。でもまだまだです。仕事中に言葉が通じない時もあって、悔しいなと思います。特に最初は、山形の方言が分からなくて…。苦労しました。まだまだ分からない時もありますが。
長瀬 ) わかります。私も県外出身なので、山形に来た時は苦労しました。ティファニーさんとてもお若く見えますが、今おいくつですか?

ティファニー ) 26歳です。

長瀬 ) えっ、見えないです。2歳くらい上なのかなと思っていました。

ティファニー ) ありがとうございます。
日本で働くまでのこと
長瀬 ) 最初に日本に来たのはいつですか?

ティファニー ) 2013年です。名古屋の会社にインターンシップ生として2ヵ月お世話になりました。

長瀬 ) それは一人でですか?

ティファニー ) 2人です。同じプログラムに友達と参加しました。会社の寮のようなところで、2人で生活しました。

長瀬 ) 寮だったんですね。それは楽しそうですね。インターンシップではどんなことをしたのですか?

ティファニー ) その会社は商品のインドネシア展開を考えていたので、インドネシア人の口にどんな味が合うかなどを研究するために、インドネシア人のインターンシップを募集していました。それに応募して、採用されて初めて日本を訪れました。2ヵ月間のインターンシップの最後には、私たちがまとめた、インドネシア人に合う商品の研究結果を会社の方々の前で発表しました。

長瀬 ) 2か月間もですか。なかなか大変そうですね。その後、山形に来たのはいつですか?

ティファニー ) 2年前です。2016年ですね。その前は福島に5カ月ほどいました。

長瀬 ) 福島にはお仕事で来たのですか?

ティファニー ) そうです。福島にある、ここと同じ、ホテルに配属されて働いていました。

長瀬 ) 日本で働くことになって、最初の配属が福島だったんですね。その少し前には東日本大震災もありましたし、ご家族は心配されたんじゃないですか?

ティファニー ) とても心配されました。東日本大震災の時の津波や原発事故のことは、インドネシアの人もみんな知っていましたし、特に母には、「死にに行くのか」と言うほど心配されました。でも私は、なんとか家族を説得して、日本に来ることができました。

長瀬 ) それはかなり大きな決断でしたね。そもそも、日本に来るきっかけは何でしたか?

ティファニー ) 姉の影響で昔から日本の漫画やアニメが好きでした。セーラームーンとか、コナンとか。中学生の頃に簡単な日本語から勉強し始めて、高校生からは、家から2時間かかる日本語クラブがある高校に進学して勉強しました。大学は日本語学科のあるところに進学し、日本語から日本文化、歴史まで学びました。そして、名古屋でのインターンシップを経てインドネシアへ帰り、改めて日本で就職したいと思いました。

長瀬 ) 家から2時間もかかる高校に通うなんて、日本への熱が強すぎる…すごいですね。
 
応援してくれる人がいることが励みになる
長瀬 ) 初めて福島に来て、想像と違っていたことはありましたか?

ティファニー ) 日本はみんなオシャレで、原宿みたいなのだろうと思っていたので、福島に来た時は本当にびっくりしました。建物とかも多くないし、人も少ない。ここにあるホテルには本当にお客さんがいるのだろうか?と思いました。(笑)

長瀬 ) 山形に来た時もそう思ったんじゃないですか?(笑)

ティファニー ) いや、山形はもう少し若者がいましたね。(笑)
長瀬 ) それは良かった…のか?(笑)でも私だったら、日本中が原宿みたいだったら死んでしまうかも。

ティファニー ) 私も今は東北の良さが分かります。

長瀬 ) それは嬉しいですね。ところで、ティファニーさんは日本に来てから、苦労した事とか嫌だなということはありますか?

ティファニー ) 最初は、食べたい時にインドネシア料理が食べられないのが嫌でしたね。今では日本の食事を楽しんでいます。

長瀬 ) 普段は何を食べているんですか?

ティファニー ) 普段は基本的に外食ですね。コンビニ弁当が多いです(笑)自分の部屋にキッチンもないので…。

長瀬 ) キッチンないのですか?!

ティファニー ) このホテルに住み込みなので。

長瀬 ) なるほど。ティファニーさんは、以前からホテルで働きたいと思っていたんですか?

ティファニー ) 実はホテルで働きたいと思っていたわけではなくて、日本で働ければどこでもいいと思っていました(苦笑)。でも2年間この仕事をして、この仕事が大好きになりました。現在は、「今日はティファニーがいる日だなと思ってきたんだ」と私がいる日だけ来てくれるお客さんや、インドネシア語を覚えて来てくれるお客さんもいます。

長瀬 ) それはとても嬉しいでしょうね。ティファニーさんとっても素敵な方だから、そりゃファンも増えますね。

ティファニー ) とても嬉しいです。もっと仕事を頑張ろうと思えます。
東北は優しいところ
長瀬 ) 今まで、日本の中でもここ東北で働くことについて、深く考えたことはありましたか?

ティファニー ) あまりなかったです。でも日本で働いていることを知っている友人からは、「日本で働くのってどうなの」と聞かれることはありました。その度に、「日本はいいところだよ、東北の人は特に優しいよ」と言っています。あと、「東北は田舎だけど、のんびりしていて、悪くないよ」って。

長瀬 ) 確かに、東北の人は優しいですよね。

ティファニー ) 優しいです。外国から来た私に対しても、いろいろ興味を持って世話を焼いてくれて、嬉しかったです。特に、仲良くなった友人たちと食事に行った時、あ、私はイスラム教徒なので豚肉が食べられないのですが。

(注釈:イスラム教の教えで食べてよいとされている食べ物を「ハラルフード」と呼ぶ。「ハラル(許されている)」に対して、「ハラム(禁じられているもの)」は「豚肉」と「アルコール」。特に豚肉については厳しく禁じられていて、そのものを食べなければOKというような単純なものではなく、豚から派生したすべてのもの、および豚と接触した食品もすべて禁忌とされている。)

長瀬 ) そうなんですね。

ティファニー ) あとお酒もダメです。それで、みんなで食事に行った時、友人たちは私のために、豚肉とお酒を使っていない料理を用意していてくれました。それがものすごく嬉しかったですね。あとはここのカフェ「道」のマスターも、豚肉抜きで料理を作ってくれたことがあります。

長瀬 ) 素敵な出会いですね。最後に、これからのことをお聞きしてもいいですか。

ティファニー ) はい。日本とインドネシアの懸け橋になりたいと思っています。私が学生の時にインターンシップで日本に来たように、日本に来たいと思っているインドネシアの学生を支えたいです。通訳もやりたいと思っています。また、日本人の皆さんに、インドネシア語をはじめ、インドネシアのことをもっと教えたいですね。

長瀬 ) かっこいい。応援しています。ではぜひ「ありがとう」をインドネシア語で教えてくれませんか?

ティファニー ) ありがとうは「トゥリマカシ」です。

長瀬 ) 今日から早速使いますね。本日は本当にありがとうございました。「トゥリマカシ~」

ティファニー ) 「トゥリマカシ~」
profile
Tiffany Octavia ティファニー・オクタビアさん
 


インドネシア・ジャカルタ出身
2013年9月 初来日。
名古屋の企業のインターンシップに2か月間参加。
同時期に、東ジャカルタのダルマプルサダ大学を卒業。
2015年5月 東北に初来訪。5カ月間THE CELECTON FUKUSHIMAに勤務。
2015年10月 山形に初来訪。現在の山形グランドホテルに勤務。
趣味はアニメを観ること、漫画を読むこと。
 
(取材:2018年6月)
interviewer
ナガセサクラ(インバウンドNAGASE)
 

出身地:栃木県那須塩原市
趣味:プロ野球観戦、ライブ
東北の好きな所:楽天イーグルス、美味しいご飯
モットー:腹が減っては戦はできぬ
ひとこと:卒業までに、東北の魅力を知り尽くします!
 
<編集後記>
 
筆者が待ち合わせの時間より20分ほど早く到着してドキドキしながら待っていると…スラっとしたアジアンビューティーが現れました。もしや、この人がティファニーさん…?恐る恐る声を掛けると「はい、そうです。あなたがさくらさん?」その一瞬で、ああ、なんて素敵な人に出会ったんだろうと心から思いました。取材中も終始笑顔で、不慣れな私にとにかく明るく接してくださいました。そもそも今回は英語メインでの取材になるかもしれないと思って緊張MAXだったのですが、ティファニーさんの日本語が完璧だったおかげで大変助かりました。今回の取材に当たって、ご協力いただいた山形グランドホテルラ・セーヌの皆様、珈琲専科道の皆様、本当にありがとうございました。私の英語で取材デビューはいつになるのやら…。乞うご期待です…。