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■ 東北ウーマンインタビュー


生き方をデザインして生きるを楽しむ

 

〜生き方をデザインして、生きるを楽しむ〜
MOTHER design 代表 / 生き方コンサルタント
わだ ゆきこさんインタビュー

山形市出身で現在は「母親になっても人生を自分らしく送る女性を応援する」MOTHER designの代表を務める。 近年は生き方コンサルタントの事業もスタートする。 過去には看護師や公務員の経歴をもちながら 生きることに向き合い自らの人生を変えたわだゆきこさん。 わださんが考える、人生への向き合い方や楽しみ方をお伺いいたしました。

 

公務員から、起業を経て
佐々木) わださん、お久しぶりです。以前は東北芸術工科大学にて、学生のキャリアに関する特別授業をしてくださりありがとうございました。 現在は主にMOTHER designの代表として様々な活動していらっしゃいますが、今に至る経緯を教えてください。

わだ ) はい。まず結果として現在の状態にたどりついた、というのが正直なところですね。簡単に今の仕事にたどり着くまでのプロセスをたどると、短大をでて看護師になった後、大学に入り直して役所に入りました。ですが、何となく満たされない日々が続いていました。そんな中、ある出来事をきっかけに長年勤めた役所を退職し起業をしました。退職と起業を決めるまではかなり早かったですね。

佐々木) その出来事とは何だったのでしょうか?

わだ ) 母が亡くなったことです。実は、母が楽しそうにしている姿をあまり見たことがなかったんです。そんな状態でも突然、命が終わってしまう。そんな現実を目の当たりにして、「私も同じだな。」と思ったんです。そこで、初めて命の使い方を本気で考えました。具体的には、心残りがなく生きていてよかったとか楽しいと感じることを仕事にしたいと思いました。

佐々木) わださんが楽しく働いている印象をうける背景には、楽しいことを仕事にするという考え方があるからなんですね。つまりそれは命の使い方を考えること。とても深いです。

 

 
生き方からみる〝仕事像〟とは
佐々木 ) お仕事に対する考えをさらに詳しくお聞きしたいです。わださんは「生き方」と「仕事」のつながりをどう考えていますか?

わだ ) 自分の真ん中にあるのは、「わたしはどう生きたいか」です。それに自分が応えるパーツはたくさんありますよね。例えば、母親というパーツであれば、どんな母親でいたいか、とか。そのパーツの1つに仕事があると捉えています。 自分が人生で大切にしたいものを、その仕事では大切にできるのかという判断基準で選んでいます。

佐々木) 仕事は、生きるというパズルのピースの1部にしかすぎないということですか?

わだ) はい。まず、生きるというのが大枠であって、そこに仕事があるだけなんです。基本は何もなくても、命さえあれば「生きるチャンス」と「時間」をもらっていますよね。その時間のパーツをどんな色で塗るかは自分で決めていいよ、と言われてるわけです。染める色は自分で選択していく。そしてそのパーツの一部である仕事も、自分で色を決めて、染める。そんなイメージです。

 
将来が不安〟の正体は…
佐々木 ) 「新しいことを始めるときや、環境が変わるとき、将来に不安を抱く人は多いですよね。わださんは、起業を経験していらっしゃいますが、将来の不安をどう捉えていますか?

わだ) 不安を因数分解してみると、一回失敗した経験があって「また失敗するんじゃないか」と恐れの感情を抱いているパターンはありますよね。それで踏み出せないことはあると思います。 ですが多くの不安は、やったことがない、見たことがないから不安になるんです…! 例えば、お化け屋敷の前で立ち止まって、ずっと不安になってる人を見たらどう声をかけますか?「このお化け屋敷、怖いのかな?どうしよう、でも怖いなぁ…。」という風に。(笑)

佐々木) う〜ん。「入ってみないと分からないよ!その時間がもったいない…!」と声をかけますね。

わだ ) そうですよね!不安になるというのは、その中を知りもしないのに、勝手に想像して怖がっている状態なんです。そう考えると、不安になっている時間がすごく無駄に感じてきますよね。 そんなことよりも、お化け屋敷を運営している会社に中の様子を聞いてみたりとか、もしくはお化け屋敷に入ったことのある人に聞いてみたりもできるんです。そうしたら不安が減りますよね。

佐々木 ) なるほど…!!自分の目で確認していないからこそ、勝手に妄想して、不安になっているんですね。

わだ) はい。もし自分でその中身を確認できたら、いっきにそのモノへの興味がでてきますよね。 私自身、今でも不安になることはあります。でもそのたびに「何か見えないものを不安に思っているんだよね」と自分の感情を俯瞰しています。そうすると、「まあそうだよね!やってみてないんだから!」とプラスに考えることができ、行動にうつせるんです。

 

 


佐々木 ) 〝不安〟との付き合い方についてさらにお聞きしたいです。不安になって、立ち止まってしまったときは、具体的にどう不安と向き合っていますか?

わだ ) 「なにを自分は不安に思っているんだろう?」と自分に確認してみることです。そうすると、本当は自分はどうしたいのか、何を望んでいるのかを気付くことができるチャンスになります。 また、これからの行動を決めることもできますよね。「〇〇が不安だから、実際に話を聞いて確かめてみよう!」とか。 こう捉えると、不安がいいものに見えてきますよね。 実は、不安は万歳なんです!!もし、不安がやってきたら、「よっしゃー!」って思えばいいんです。(笑)

佐々木 ) 「不安は万歳!」名言です…!不安になるからこそ、本当の気持ちを自分で認識できたり、次の行動をとることができるんですね。なんだか不安が良いものに思えてきました。

 

 
未来を変えるためには〇〇を変える
佐々木 ) わださんが過去と比べて一番変わったなと思うところはどんなところですか?

わだ ) この前、看護師時代の写真を見つけたのですが見た目がすごく変わりましたね!オーラというか目の輝きといいますか…。その頃のほうが若いし痩せているのですが、今のほうが若々しいんです。不思議ですよね。そこが変化かなと思います。

佐々木) それはすごいです!若々しくなった理由などはありますか?

わだ) 未来に対する期待やワクワクが表面に出てきて、周りから若々しく見られるのかなと思います。

佐々木) 未来にワクワクを持つためには具体的にどうすればよいのでしょうか?

わだ) 今を楽しく生きることが大切だと思っています。どういうことかというと、未来は今の連続でしかないんです。実際に、このインタビューが始まってからずっと今という時間が流れていました。そして今があります。ということは、インタビューを始めたときから見ると、今は〝未来〟なんですよね。

佐々木) す、すごいです…。今の積み重ねが未来をつくるということですね

わだ) はい。だから未来を楽しくしたいんだったら今を楽しくすればいいんです!!先ほども話した通り、目に見えない未来を考えると不安にしか出てこないと思うのですが、〝今〟という目に見えるものに置き換えれば不安にならないんです。そう考えると、今できることがたくさんありますよね。「明日の自分のために、今できることはなに?」と問いかけたら誰もが具体的にわかります。

佐々木) 未来に不安な時こそ、今に目を向けることが大切なのですね。

わだ ) はい。10年後の自分は誰も知りません。でも今日の自分は誰でも知っています。そして今日の積み重ねが確実に、10年後の自分に繋がっているんです。だから今日の自分を精一杯生きる、楽しませると意識して進むと、良い未来がつくれると思います。

 

 

 
感情との付き合い方
佐々木 ) わださんは自分との付き合い方がとても上手ですが、日常で何か意識していることはあるのでしょうか?

わだ) 自分から湧き出た感情に嘘をつかずに、きちんと聞いてあげることを意識しています。感情って嘘がつけないんですよね。怒っているのに笑えないし、楽しいのに怒れないじゃないですか。

佐々木 ) そうですね。最近は、ポジティブ思考が良いとされる風潮がありますがそれはどうお考えですか?

わだ) それはもうご法度ですね!!だって、できないじゃないですか。できたとしても、すごく苦しい。落ち込んだ時には、ちゃんと落ち込む。ドーーーーーーーーーーンって(笑)無理に自分を引き上げようとせずに、ちゃんと感じきることが大切ですね。

佐々木) なるほど…。「ポジティブでいなきゃ!」と自分の気持ちに蓋をするのではなく、ちゃんとネガティブな気持ちを引き受けるんですね。

わだ ) 感じていることをとことん感じ切ったほうが、ちゃんと上がってくるんですよね。海底まで落ちたらもう上に行くしかないじゃないですか。ちゃんと、何かのきっかけで浮上してくるんです。 でもその時間って、すごく苦しくて居心地が悪いんですよ。だから「まあいいか」って自分に言い訳をしたり、友達に話して共感してもらって安心して終わりにしたり逃げたくなるんです。

佐々木 ) すごくわかります!話した後はスッキリするけれど、またすぐにモヤモヤするみたいな…。

わだ ) 本当の自分の心の解決ができていないからなんですよね。別に友達に話すこともいいんですが、何度も同じことでモヤモヤするときは一回、自分の感情を引き受けることが大切ですね。「怖いなぁとか」とか「わたし、誰かと比べて落ち込んでいるなぁ」と。しっかり味わう時間に、自分の中から出てくる答えが必ずあるんです。その答えのほうがよっぽど説得力があると思います。

 

 
自分観察日記のすすめ
佐々木 ) 自分の感情を向き合うことについて詳しくお聞きしたいです。具体的にどう向き合っておられるのでしょうか?

わだ ) 小学生がよくする朝顔観察日記のごとく、自分観察日記をノートに書いています!今日の様子や心の変化だったりを書き留めていますね。頭の中でグルグル考えてしまうことほど、永遠に続くものはないんです。密閉された空間で水が回っているのと同じなんですよね。だから〝書く〟という行為をすることで自分から出すことを心がけています。

佐々木 ) 水抜きと同じように、感情の行き場を作ってあげるんですね。

わだ ) そうですね。あと、思っていること書けばいいのに言葉を選んでみたりする自分にも気付いたりします。自分のことなのに強がってしまうんですね。でも続けていくと、思ったことを言葉に書いても全然恥ずかしくなくなります。「ちくしょー!」とか書くこともあるんですが、そんな自分に笑えてくるんですよね(笑)そんなことをずっと繰り返していくと自分のそばにいつも自分がいるっていう感覚が生まれてくるんです。

佐々木 ) ちくしょー!(笑)なんだか私も書いてみたくなりました!小さい自分を飼っているような感覚でしょうか?

わだ ) その通りです!いつでも一緒にいて、どんな状態でも許してくれるもう一人の自分が心の中にいる感じです。だから自分が緊急事態の時は、優しさを持ってアドバイスをくれるんです。例えば、「疲れてるんだからはやく寝たほうがいいよ!」とか、「自分で考えてもどうにもならないんだからあの人に相談しなよ!」と。そうやって自分を守りながら生きていると少し楽になれるんです。

 

佐々木 ) ノートに書くことの他に、自分や人と上手く付き合うコツはありますか?

わだ ) 思い出した時でいいので「今どんな気分?」と自分に聞いてあげることですかね。人の感情ってとても表層的な場合が多いんです。例えば、誰かに対して怒りの感情を感じているときは、本当は悲しみを感じている時があります。悲しみが怒りとして表に出てくるみたいな。

佐々木) 表層的な感情ばかりに目を向けてしまうのは、あるあるかもしれませんね…。

わだ ) そうですよね。だから人に何かを言う時には、それは表層的な感情から出た言葉じゃないか?と気をつけるようにしています。自分自身と本音の対話をしてみて、本当の気持ちを明確にしてから相手に言うようにしています。

佐々木) 自分自身と対話をする時間を持つことが大切なんですね。それが良い人間関係をつくる鍵にもなる…。

わだ ) はじめは面倒くさいと思うかもしれませんが、それも日頃から自分の感情を察知していないからだと思います。忙しくて流されることもあると思うのですが、一日の終わりにはきちんと〝自分の心の家〟に帰ってくることが大切です。余裕がない時も「今自分は余裕がないんだな」と気づいてあげる。その方が自分にとって優しい行為なのかなと思います。

佐々木) 自分の心の家に帰る…。すごく響きました。

わだ ) 朝におはよう!と起きてみんな心の家から出ていくわけです。いろんな人と会って、いろんなことを感じて。でも、夜にはきちんと心の家に帰り、その日感じたことに気づいてあげる。しかし、夜になっても自分の心の家に帰らない人が多いんですよね(笑)私もたまによくしてしまいます。

佐々木) とくに現代人は多い気がしますね。

わだ ) 寝る前に『あの人はこうだよな〜』とか『あの仕事どうしよう』とか、思考を巡らせて夜遊びをするのではなく、きちんと心の家に帰るのは意識したいですね。

 

 
コロナの中で、自分を生きるには
佐々木 ) コロナで〝当たり前〟が覆されたいま、「自分はどう生きるか」を考える人が増えたように思います。それに対してはどうお考えですか? ?

わだ) 先日「コロナで変わる生活」についてのアンケート結果を見たのですが、そこで多くの人がコロナで生活が変わり、仕事の仕方も変わると答えていました。この結果を聞いてまあそうだよなと思いつつ、1つ感じたことがありました。それは、コロナに対してすごく受動的な姿勢であるということです。コロナに影響を受けて生活や仕事が変わったと感じる人が多いんです。でも私は能動的に捉えることの方が100倍大切だと思っています。「自分はどう変化するのか、どう変えたいのか」この問いを自分にしてみてください。なぜかというとこの答えを持っていないと、これからまた環境が変わる時に流されてしまうだけかなと思うからです。

佐々木 ) すごく納得しました。コロナで変えられる、のではなく自分が変える意識を持つことが大切なんですね。

わだ ) はい。そしてこの受動的な姿勢の話はコロナに限った話ではないと思っています。例えば「親がこうだから〜」とか、「学校のせいで〜」とか、あげたらキリがないですよね。 .

佐々木 ) 今回はたまたまコロナが主語でしたが、他のことを主語にすることができますね。

わだ ) だからどんな場面でも「その中でどう変わりたいの?」「どう在りたいの?」と問いかけることが大切なんですね。また「変わりたくない」も、きちんとした意志だと思います。今回のコロナの回答としては、急がなくてもいいから自分の中でしっかりと答えを感じていくときなのかな、と考えています。
 
正直に生きる
佐々木 ) 最後の質問です。近頃〝自分らしさ〟を持つことが大事とされる風潮がありますが、それはどうお考えですか?

わだ ) まず、そもそも自分らしさなんて存在していないと思います。どんな自分も自分らしいからです。だから 自分らしさという1つのものさしで、自分を表現するのはすごく難しいと思います。そういうフレーズに心を合わせようとするのではなく、そもそもどんな自分も自分らしいのだから、そこに堂々として欲しいです。

佐々木) どんな自分も受け入れる姿勢があってこそですね。

わだ ) その時々の自分が「自分らしさ」なんですよね。いま自分らしく、いま自分の心に正直に生きることが大切だと思います。

佐々木 ) 素敵なお言葉です。「いまを生きる」大切さを痛感しました。本日は、ありがとうございました!

 

 

 

( 撮影 : 菅野彩友 )

 

 

profile
わだゆきこさん
 

山形市出身。

看護師勤務を経て、市役所職員に。

保健師として母親の子育て支援を務める中、母の死をきっかけに

「MOTHER design」を起業。

現在は、生き方コンサルタントとしても活躍中。

「生きるを楽しむ」ことに日々向き合いながら

看護師や保健師の経験を活かし、現在も活躍の場を広げている。

 

 

≪ MOTHER design ≫

想い溢れる女性が、自分を発信できる場として活動できる講座やイベントのプロデュースを行う。

2017年には「生き方コンサルタント」としてコンサルティング事業をスタート。

山形・全国の学校に、「生き方の授業」を届け、山形全県の学校に授業を届けている。

アメーバブログ 生き方の授業

 

 

interviewer
佐々木瑠菜

 

出身地:宮城県東松島市


趣味: 自然にふれること


東北の好きな所:美味しい食べ物がたくさんあるところ


モットー: 熱量とゆるさを持つ


ひとこと: “ナンカレー巡りにハマっています。 ” 

 


 
<編集後記>

最後までお読みいただきありがとうございます!

今回のインタビューを通し、さらにわださんの「生きること」への

捉え方を深く知ることができました。

私自身も勉強になることが多くとても実りのある時間になりました。

本当に心から感謝しております。

生きることに誠実に向き合い活躍されるわださんのお姿は、

力強いだけでなく優しさも兼ね備えており本当に素敵な方だと感じました。

その強さと優しさをインタビュー記事から感じていただければ幸いです。


取材にご協力いただいたわだ ゆきこさん、本当にありがとうございました!