つくづく休業日 |
ごはん運がないな、とつくづく思います。
ひとりで出かけようと、誰かと出かけようと、行く先のごはん屋さんは毎度のように定休日なのです。
夏もそろそろ終わろうとしている頃、箱根へ行きました。
ずっと行ってみたかった箱根。
この旅が楽しみで楽しみで、ごはん屋さんをこれでもか!というくらい隈なく調べて、定休日や営業時間、場所など全てまとめていきました。
これで準備万端。
深夜のバスに揺られながらようやく箱根に着き、軽く観光をした後、お目当てのお店へ。
ひたすら続く上り坂を踏みしめながら、一歩一歩進んで行きます。
ようやく目的地につき、看板を発見。
店主でしょうか。50cmほどのおじいちゃんの人形が、おすすめメニューを記したボードを持ち、にこやかな表情で出迎えてくれました。
人形のかわいらしさと温かなお店の心意気にときめき、思わずシャッターを切る。
同時に、やっとこのご飯が食べられるのかという安堵で心が満タンになりました。
人形をあとにし入り口へ向かい、扉を開け、いよいよ食事の時間。
「あれ、開かない…?」
安堵でいっぱいだった心がすーっと落ち込んでいく感覚がわかりました。
「臨時休業」
そんなわけ。
何度見ても消えない、看板の4文字。
やっぱり。
また休業日。
この旅で一番楽しみにしていた食事といっても過言でないほど心待ちにしていたのに。
よく調べてみると、どうやら海鮮の仕入れによってすぐ閉まってしまう日があるよう。
確かについ2日前は強い台風が直撃していた、あの日でした。
どう足掻いても仕方ない。来た道を戻ろう。
傾斜のある坂道だった分、帰りは急な下り坂で、落胆した心が体重と共に膝にのしかかります。
雨が降ってきました。
どうしてこんな時に。
急いで近くの建物で雨宿り。
ふぅ、とため息をつきながら何気なくお店を見渡すと、そこは写真館でした。
歴史を感じる外装。ガラスのショーケースに丁寧に並べられた写真。
よく見てみると、数ある著名人や、テレビでよく目にする芸能人の姿が写されていました。
この人もこの場所へ来たのか。
なにかの記念写真だろうか。
どうしてここへ来たのだろうか。
写真に写るひとりひとりの表情から様々な想像が膨らみます。
もし、この日お店がやっていて無事食べられることになったら、雨が上がったあとにこの道を通り、この写真館で雨宿りすることもなかったことでしょう。
雨宿りすることがなければ、もちろん写真を見ることもない。この写真に写る家族が、どんな思いでこの場所にきて、どんな理由で写真を撮ろうと思ったのか、思いを馳せることもなかったことでしょう。
うまくできているなぁと思います。
気づけば落ち込んでいった心もなにかほっと温まっていました。
何か得られずとも、どこかで何かを補っている。
何か得られても、どこかで何かを失っている。
人生はその連続なんだと、ふと、改めて感じる旅でした。
なにか不都合なことが起きてもどこかで補えるような、ラッキーなことに出会えると、信じていたいです。
でもやっぱり海鮮食べたかったなぁ。