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■ 東北ウーマンインタビュー


地元を愛し、輝く人を発信するアナウンサー

地元を愛し、輝く人を発信するアナウンサー
YBCアナウンサー 山川麻衣子さんインタビュー
YBC山形放送でアナウンサーとして活躍されている山川麻衣子さんに、アナウンサーを目指すようになったきっかけや、仕事に対する姿勢や思い、そして地元である山形に対する思いについてお話をお伺いました。
人生の転機
小松 ) なぜアナウンサーを目指そうと思ったのですか?

山川 ) 高校時代に私が憧れていた人がいて、その人がアナウンサーになられたんです。その時まではアナウンサーについてあまり考えたことはなかったんですが、その方をきっかけにアナウンサーという仕事もあるんだなと思い、目指すようになりました。

小松 ) その人と出会ったのがきっかけだったんですね。

山川 ) 実は会ったことはなくて一方的に知っているという感じでした。それと、大学は法政大学で、自主マスコミ講座というのがあったんですね。大学は高校ほど勉強もサークルも忙しくないし、なにか頑張ることが欲しいなと思ってその講座に入りました。そこから本格的に目指すようになりました。

小松 ) その時から、自分でアナウンサーになるために努力したことや、意識して行っていたことはありますか?

山川 ) テレビ業界に行きたかったので、テレビをたくさん見たり、面接練習をしたりしました。1年生の時はテレビを観るくらいでしたが、2~3年になるにつれて、自己PRとか面接でどんな話ができるか考えるようになりました。

小松 ) いろんな局がありますが、どうして東京の大学に進学したのにまた山形の方に戻られたのでしょうか?なぜYBCでアナウンサーになろうと思ったんですか?

山川 ) 一番は地元が好きだったというのが大きかったと思います。東京での大学4年間も楽しかったんですけど、一生自分が生活すると考えたとき、やっぱり山形に戻りたいなという思いがありました。落ち着くというか、心も穏やかになれるところで長く働きたいなという思いがあったので、地元である山形に帰ってきました。

小松 ) 東京と違って山形は時間がゆっくり流れている感じがして落ち着きますよね。

山川 ) そうですね。もちろん東京はすごくいろんな夢を見ることができるし、キラキラしているように感じました。でもそれがまた儚くて、ちょっと寂しさもあるなあって。自分の基盤となるのはやっぱり山形、地元かなと思います。
東京で過ごした4年間
小松 ) 山川さんの経歴、生まれなどを教えていただけますか?

山川 ) 出身は山形で高校は山形東高校、大学は東京の法政大学に通っていました。

小松 ) 山形から東京の大学に進もうと思ったのはなぜですか?

山川 ) 東京に対する憧れはありました。行けるチャンスだったので、東京を見てみたいという気持ちで山形を出ました。

小松 ) 東京に出てから山形に戻ることは考えていたのですか?

山川 ) 決めていませんでした。大学1年生の時は山形ではできないような体験をたくさんしました。テレビで観ているお店などに行けるのがすごく楽しかったので、その時は東京って楽しいなあと思っていました。

小松 ) 東京に行くと、どれもこれも輝いて見えますよね。

山川 ) 東京も楽しかったですし、好きになれました。でも、就活でこの後長く働くとしたらどうしようかなと考えて、そしたらやっぱり山形に帰りたいなあと思いました。大学4年間東京でやりたいことをやりつくしたからこそ、山形に戻ってきたいなって思えました。大学の4年間は東京で良かったと思っていますし、今山形で働いていることに対しても良かったと思っています。大学は人生の中でもいろいろと好きなことができた4年間だったと思っています。
地元を離れて気付いた今までの“当たり前”
小松 ) 山形で育ち、東京に出て、また山形に戻ってきて、改めて山形や東北を見る目は変わりましたか?

山川 ) 変わりましたね。私は生まれも育ちもずっと山形だったので、逆に山形の良いところが当たり前になってしまっていて、全然気づかなかったんです。でもやっぱり一回外に出てみると、例えば水道水が美味しいのも実は当たり前じゃないんだなとか、毎日食べているお米が特別おいしいってことにも気づいていませんでした。ある日、大学の友達が家に遊びに来た時、実家から送られてきたお米を炊いて出したんです。そしたらこんなにおいしいごはん食べたことないって言われて。別に普通のお米なんですよ。でもその時初めて、実は私が今まで食べていたお米ってこんなにおいしかったんだなって気づきました。

小松 ) 1番気付いたことは“食”なんですね。

山川 ) そうですね。特に山形は美味しいものをそんなに高くない値段で、食べられるというのがやっぱりいいんですよね。

小松 ) 山形の好きな食べ物はなんですか?

山川 ) 玉こんにゃくが大好きです。お祭りに行ったら絶対買います。東京にいた時もお祭りの屋台でたまに玉こんにゃくがあるんですよ。でもなんか山形で食べた方がおいしい気がするんです。値段も東京の方が少し高くて3つで200円とか、山形だと4つで150円で買えますよね。

小松 ) やっぱり地元で食べるのがおいしいですよね。
四季を満喫できるところ
小松 ) 山形の魅力を感じるところや好きなところはどこですか?

山川 ) 四季がはっきりしているのは本当に面白いと思います。冬は全国ニュースになるくらい雪が降るのに、夏はとにかく暑いですよね。同じ土地にいて、冬はウィンタースポーツを楽しめるし、夏は庄内に行けば海水浴ができるし、山もあって、紅葉も見られます。そうやって1年を通してその時だけの楽しみを、満喫できるのは山形ならではだと思います。

小松 ) 私は北海道出身で、大学で山形の方に来たんですけど、おっしゃる通り本当に四季がはっきりしていて感動しましたし、毎年実感しています。(笑)

山川 ) そうなんですね。山形ってやっぱり東北の北の方だから、雪が多いというイメージを持っている人は多いですが、夏が暑いという事をなかなか知らない人が多くて。

小松 ) そうなんですか!すごく暑いですよね。

小松 ) 次に、お仕事内容について教えていただきたいです。

山川 ) 私は夕方の「YBC news every.」のフィールドキャスターと、日曜日の夕方午後5時15分からのやまがたサンデー5(サンデーファイブ)という県政番組、それと土曜日、午後3時からのラジオの生放送「ウィークエンドスクランブル」という番組を担当しています。フィールドキャスターなのでどこかに取材に行くことが多いです。「やまがたサンデー5」も必ず取材があり、外に出る機会が多いですね。週に3回は取材に行きます。

小松 ) スタジオでお話するのと外に取材に行くというのでの違いや意識して変えてることはありますか?

山川 ) 取材もスタジオでの仕事も、ちゃんと相手の話を聞くように心がけていますね。結構沈黙が怖くて、次何を喋ろうって考えて相手の話をスルーしちゃうことが多いので、ちゃんと相手の話を聞いて自然に会話を成立させられるように気をつけています。

小松 ) 原稿で読みづらい言葉などにはどう対応されていますか?

山川 ) 下読みの段階で、噛みそうな言葉には印をつけて何回か練習をして、気合いを入れて読みます。

小松 ) 原稿はどのくらい前から渡されるのですか?

山川 ) モノによります。生放送のニュースではなくて、収録の企画モノなどは早ければ前日に貰えます。ニュースの場合は、直前で変更になったり、いきなり新しいニュースが入ったりすることもよくあります。そうなるとフロアが嵐のようにバタバタします。

小松 ) そのバタバタしている中で、平常心を保つ自分の軸みたいなのはありますか?

山川 ) 緊張すると失敗するから緊張しないようにしようとはいつも思っています。緊張した時ほど冷静になろうという努力はするのですがなかなか冷静にはなれないです。(笑)
発信して伝え“応援する”
小松 ) アナウンサーの目線から何か伝えていきたいことはありますか?

山川 ) 普段生活していたら会えない人たちに会えるっていうのは、この職業に就いて良かったなあって思います。ものすごい技術を持っている方とか、実は沢山いるということに気付けたので、そういった人たちを自分は応援したいしこの職業に就いたからには、発信して伝えることで応援していきたいなあと思います。

小松 ) 取材をしているといろんな人に会うことができますよね。

山川 ) そうですね、いろんな人に会っていろんな考え方を持っている人たちとお話をする機会があるっていうのは自分の考え方も変わってくるなあと思います。

小松 ) 今まで出会った中で1番変わった考え方というか影響されたモノやコトはありますか?

山川 ) 山形打ち刃物という刃物を作っている工場を取材した時に、たまたまお話をした女性が、以前は東京の広告代理店で働いていた方でした。職人さんになりたいと思い山形に1人で来て、今打ち刃物の職人さんとして働いているんです。縁もゆかりもない山形で、しかも女性はその方しかいなくて。打ち刃物を作りたいという強い気持ちで、山形に来てくれたことが衝撃的でした。山形はすごくいい所で人があたたかいってお話をされていたので嬉しかったですし、すごい人がいるんだなあと思いました。

小松 ) 今までとは全く別の道に進む決意ができるとても意思の強い方ですね。
緊張の毎日
小松 ) 入社されて3年目ということですが印象に残っているお仕事はありますか?

山川 ) 入社1年目の時、ラジオで神社のリポートをするお仕事がありました。そこで緊張して何も言えなくなってしまって。スタジオにいるアナウンサーが助けてくれたんですけど、その時は本当にその場から消えてしまいたい気持ちになりました。強烈に覚えています。すごくへこんだんですけど、青山アナウンサーが高橋優さんの『明日はきっといい日になる』という曲の歌詞の一部を書いた手紙を置いて帰っていかれて、かっこいいなあと思いました。

小松 ) 1年目はやはり精神的にも厳しいことが多かったですか?
山川 ) 最初の頃は5分くらいのニュースでも、この世の終わりかっていうくらい緊張して心臓もすごくバクバクしていました。(笑)毎日毎日続くので、早死にするんじゃないかと本気で思いました。この仕事向いてない、これはだめだって1年目の頃は本当に心配していました。普通に生活していたらこんなにバクバクすることはないので。

小松 ) その早死にする!って思ってた時から、自分の中で意識が変わった瞬間はありますか?

山川 ) 瞬間というか、回数を重ねることによってそんなに緊張するということはなくなりました。今でも緊張はしますけど、結局緊張したら失敗するのであまり緊張しすぎないようにしなくてはと気づき始めた時期がありました。
自分らしい髪型や服装
小松 ) アナウンサーはいろんな人から見られるお仕事ですが、外見など普段から気をつけてることはありますか?すごくお綺麗でびっくりしました。

山川 ) ネイビーや暗い色のスーツを着ていると、「明るい色の方が良いよねって」、アナウンス部の先輩も女性はもちろん、男性も洋服などに関して「その色華やかで良かったね」と言ってくださいます。

小松 ) 自分だけではなく会社の方々ともお話しながらご自分のイメージを作られているのですね。本日ご着用されているワンピースも意識して選ばれたのですか?
山川 ) そうですね、顔が明るく見えるかなと思いこれを選びました。
“取材してくれてありがとう”感じる人との繋がり
小松 ) お仕事をしてて嬉しいと感じる瞬間はどんな時ですか?

山川 ) 「取材してくれてありがとう」と言われたりすると、良かったなあとすごく思います。改めて人から感謝されることってこんなに嬉しいんだと思いました。特に地元なので「山形出身です」と言った時に「山形なんだー!」って喜んでくれる人が多いんですね。それは山形に帰ってきて良かったなと、自分の強みだと思います。

小松 ) 人から感謝されたり、実感できる機会はいつですか?

山川 ) ニュースを読んだりラジオで喋ったり一方的に発信することが多いので、ラジオのメッセージでも聴いてますよというメッセージが届くと嬉しいです。自分の言葉が届いているんだなと。ラジオはメールやハガキ、電話でも送れるので、リスナーの声が自分の手元に届くことがテレビに比べて多いので、そこは繋がっている感じがして嬉しいです。

小松 ) 相手のリアアクションがわかると嬉しいですよね。

小松 ) お仕事の話とは変わるんですが、趣味はありますか?

山川 ) ピアノを5歳~高校3年生までやっていました。でももう弾いていなくて。やっぱり弾かなくなると弾けなくなるんですよね。指が動かなくなっちゃって、それが自分の中で悲しくてますます触らなくなるっていう。どんどん遠ざかっちゃってここ何年も弾いていないです。

小松 ) そういう趣味を通して、お仕事に活きている事や役に立った瞬間はありますか?

山川 ) ピアノはコンクールが毎年必ずあったので、緊張することに少しは慣れていたかもしれないです。あとはドラマを見るのが好きでほとんど観るようにしています。人と話すことが多いので共通の話題として「~観てる?」という話になった時に、ドラマだったら絶対に答えられます。(笑)形は違っても人前に立つという意味では確かに今までの経験があったので、その分慣れてはいたのかなと思います。

小松 ) 自分の気づいていないところで実は役に立っていることってありますよね。
休みの日は外に出て
小松 ) 今ハマっていることなどはありますか?

山川 ) 最近はYouTubeを見るのが好きです。YouTubeで魚を捌く動画があって、それが大好きで夜な夜なずっと見ています。どんどん見ているうちに実際に捌きたいっていう欲も出てきたんですよ。ある日、母がたまたまアジを捌こうとしていたんです。だからやらせてって言って捌いたんですよ。そしたら初めてだったんですけど、中々上手にできました。動画のおかげで。(笑)

小松 ) 私もYouTube好きでよく見ます。(笑)お休みの日は何をされていますか?

山川 ) 入社1年目の時は休みの日はずっと家にこもっていました。やっぱり会社の中でも1番下っ端だと緊張するじゃないですか。だから休みの日は人に会いたくないと思って土日はこもっていたんですよ。YouTubeとかドラマを見て2日間過ごしていたんですけど、それってもったいないなって思ったのが入社2年目でした。入社2年目からは休みが2日間あったら必ずどちらかは外に出るようにしています。仙台まで足を伸ばして買い物に行ったり、友人と遊んだりしています。

小松 ) よく行くのは山形市内と仙台周辺ですか?

山川 ) そうですね。あとはモンテディオ山形の試合を観に行くこともあります。スポーツ観戦が好きで、野球も見に行きます。

小松 ) スポーツが好きなのはチアリーダーをやっていた経験と関係があったりしますか?

山川 ) あると思います。自分はできないので、できる人たちを応援したいと思っています。

小松 ) お仕事でもプライベートでも人を応援することが共通してると感じました。

山川 ) 確かにそうですね。自分にできることって限られているじゃないですか。でもそこで完結しないで、すごいことをしている人たちに関わりたい、応援したいという気持ちがあるかもしれないです。
沢山の人たちを応援し続けたい
小松 ) 今後の夢やビジョンなどはありますか?

山川 ) やっぱりそうやって沢山の人たちを応援し続けたいです。いろいろな所に行って頑張っている人たちを自分で見つけ出したいというか、探し出したいという思いがあります。

小松 ) 誰かの応援をしたいという、ご自分の芯となるものをしっかりと持ち、お仕事をされていて素敵な働き方だと思いました。本日はありがとうございました。

 

(カメラ担当・左から菊池、黒瀬)

 

 

profile
山川麻衣子さん

YBC山形放送アナウンサー・3年目
担当番組
テレビ:YBC news every.(フィールドキャスター)
やまがたサンデー5〈毎週日曜日 午後5時15分~〉
ラジオ:とんちゃん・まいこのウィークエンドスクランブル
〈毎週土曜日 午後3時~〉
interviewer
小松瑠惟

出身地:北海道網走市
趣味:部屋掃除
東北の好きな所:四季があって桜がきれいなところ
モットー:終わりよければすべてよし
ひとこと:東北の春が大好きです
<編集後記>
生まれ育った山形を出て、東京に進学し、また就職のため山形に戻ってきた山川さんの仕事への考え方、そして地元への思いが取材を通してひしひしと伝わってきました。大切にできる、帰って来たいと思える場所があるというのは本当に素敵で、とても羨ましく感じました。 終始笑顔がかわいくて、緊張しっぱなしでしたが丁寧に取材に応じてくださって、沢山のお話を聞くことができました。 山川さんが取材中おっしゃれていた言葉で、自分の“当たり前”は実は“当たり前”じゃないんだなと気付き、身の回りのモノを大切にして生きていきたいと思いました。