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■ 東北ウーマンインタビュー


大好きな仙台で、誇れるデザインを

大好きな仙台で、誇れるデザインを
株式会社PILEデザイナー バチコさんインタビュー

仙台市内にあるデザイン事務所でグラフィックデザイナーとして 働くバチコさん。アパレルを中心にロゴやポスターを手掛ける仙台市在住女性デザイナーが仙台市で働くことにこだわる意味や、東北を中心に若者から支持を集める 『きっこうちゃん』の誕生秘話などをお伺いしました。

 

人との繋がりから得たもの

 

黒瀬 ) はじめに、バチコさん自身について教えて頂きたいです。 普段はどのようなお仕事をされているのですか?

バチコ ) 仙台市内のデザイン事務所で、グラフィックデザイナーとして働いています。 ロゴやチラシ、ポスターなどを作っているのですが、近い場所でいうと仙台フォーラスにあるYENという古着屋さんのロゴを作っています。系列店のMary Louのロゴも私が担当しました。
【バチコさんの作品一部】

▲ YEN ロゴ

▲ Mary Lou ロゴ

 

黒瀬 ) 若者向けのアパレルなどを中心にデザインされているのですね。

バチコ ) 私の上司が仙台デザイン専門学校の出身で、みんな同級生でやっている会社なので、その繋がりで知り合いのお店のロゴなどを担当したりしています。 この会社自体、アパレルをやっていてその繋がりで仕事をしています。

黒瀬 ) バチコさんはもともと宮城県の方なのですか?

バチコ ) はい、そうです。専門学校に入学してから仙台市内に引っ越して、そのまま就職しました。

黒瀬 ) ではこの会社に入社を決めたのも、仙台デザイン専門学校頃の繋がりがあったのですね。

バチコ ) そうですね。

黒瀬 ) 専門学生の頃からデザインを勉強していたという事なのですが、デザインに興味を持ち始めたのはいつ頃からなのですか?

バチコ ) 小さい頃から絵を描くのが好きで、最初はイラストレーターになりたいと思っていたんですが、高校生くらいから周りに絵の上手い人が増え始め、自分レベルでは難しいじゃないかと考え始めました。イラストだけではなく当時流行っていた自作ホームページの素材をつくるのが好きだったので、そのようなことも含めてデザイナーになるのに向いてるんじゃないかと思い、デザインの専門学校に行きました。

黒瀬 ) 私のイメージだと、東京の方がデザインに関しての刺激が沢山あると思うのですが、何故仙台のデザイン事務所に就職しようと思ったのですか?

バチコ ) 一番は仙台が好きだからですかね。たしかに東京の方が沢山仕事はあるし、デザインの最先端に触れられると思うのですが、“だからこそ”という気持ちがありました。「あえて地元でやってやるよ!」という反骨心です。仙台には好きなお友達もたくさんいるので離れたくないという思いもありました。

黒瀬 ) バチコさんの仙台愛がとても伝わってきました。愛の強さがバチコさんの作品にも表れているのですね。

黒瀬 ) 今、私たちは就活も終わって大学生活も残り僅かなのですが、中鉢さんが大学生のうちにやっておいたほうがいいなと思うことは何かありますか?

バチコ ) 友達をいっぱいつくるとか、学生の時のほうが自由に動けるので色々なところに遊びに行くとかですかね。

黒瀬 ) バチコさんは友達といろいろなところに遊びに行っていたのですね。

バチコ ) そうですね。その時のことが今の仕事に繋がっていることもあります。 YEN(仙台市内にある古着屋さん)のロゴのお仕事を頂いた時のお話なんですが、もともと前の店長さんと友達で、作ってほしいと依頼されて作りました。 なのでいっぱい遊んでおいてよかったなと思います。(笑)

黒瀬 ) 人との縁がお仕事にも繋がってきているのですね。
ファッショニスタから絶大な人気を誇る『きっこうちゃん』

 

黒瀬 ) バチコさんの代表作とも言えるキャラクター、『きっこうちゃん』についてお聞きしたいです。 まずはじめに、『きっこうちゃん』が生まれた経緯を教えてください。

バチコ ) 『きっこうちゃん』が生まれたのは私が専門学生だった頃です。 当時授業で、定禅寺通りで行れるフリーマーケットイベントに出店するというのがありました。そこでステッカーを出品して、どういうものが売れるかなと考えていました。 可愛いのがいいな、でも可愛いだけじゃ足りない。可愛いもの+毒…で、無表情の白いうさぎに亀甲縛りをした、『きっこうちゃん』が生まれました。

黒瀬 ) 私的に、緊縛は少しハードなモチーフで賛否が分かれるデザインなのではないかなと思いました。抵抗がある人もいると思うのですが、売れるものを作りたい!という気持ちからなぜ緊縛というハードなものをモチーフにしたのですか?

バチコ ) 当時は19歳だったので深く考えていませんでしたね。(笑)「自分がいいと思うものだったら売れるでしょ。」という考えでした。結構安易な感じで作って、そこで売れてたので私の中でも気に入ったキャラクターになっていきました。それからは自主製作で作っていました。 全然売るぞー!っていう感じではなく、売れるもの=いいもの=自分が素敵だと思うものっていう考えでしたね。

▲ 『きっこうちゃん』グッズ一部

 

黒瀬 ) では、その時は長期的に『きっこうちゃん』を売っていこうとは思っていなかったのですね。

バチコ ) そうですね。全く思っていませんでした。学校の友達とラフな感じで「これ売れるでしょー!」っていう感じで作っていましたね。

黒瀬 ) 学生時代に作ったものが今の仕事に繋がっているのがすごく憧れます。 『きっこうちゃん』を仕事につなげられるようになったきっかけは何ですか?

バチコ ) 最初は自主製作で、私が飲みに行った先で勝手にステッカーを配っていたところからでした。JOURNAL STANDARD(アパレルブランド)の方が私の上司の知り合いの方で、仙台に来る度に飲んでいるくらい仲がいいのですが、私が今こういうの作っているんですっていう風に勝手に渡していたら興味を持って下さったんです。それから「これ売ったらいいんじゃない」って提案して下さって、最初の何年かは冗談だったんですが、ある時本当に売っちゃおうよっていう話になって売ってみたっていう感じですね。

黒瀬 ) 飲み会を通じてっていうことなのですね。

バチコ ) でも売りたいから配っていたというよりは、私がいいと思うものだったので「かわいいでしょみんな見てよ!」っていう気持ちでしたね。
業界問わず愛されるキャラクター

 

黒瀬 ) JOURNAL STANDARDに売っているというのは私も買い物に行ったときに見て知っていたのですが、楽天イーグルスやベガルタ仙台など、仙台のスポーツチームや、ほかのアパレルブランドなど様々な企業さんとコラボレーションしていますよね。大体どのくらいの企業さんとコラボレーションしてきたのですか?

バチコ ) 15くらいです。

黒瀬 ) 楽天イーグルスやベガルタ仙台とのコラボレーションはどのような経緯でコラボレーションが決まったのですか?

バチコ ) 楽天イーグルスはJOURNAL STANDARD×楽天イーグルス×きっこうちゃんでコラボが決まりました。 ベガルタ仙台は事業部の方がうちの会社の人と知り合いなのでコラボレーションが決まりました。企業とのコラボレーションの時は企業側の方から直でお声かけ頂くことが多いです。 企業側からお声かけ頂いて『きっこうちゃん』にはまりそうだったらやるっていう感じですね。

黒瀬 ) ベガッタくんが縛られていたのに衝撃を受けました。(笑)

 

バチコ ) ベガルタ仙台さんが結構寛大で、なんでも大丈夫っていう感じでありがたかったです。(笑)

黒瀬 ) 公式キャラクターを縛るってインパクトがありますよね。でもかわいく見えるっていうのがすごいです。(笑)

▲ JOURNAL STANDARD×楽天イーグルス×『きっこうちゃん』グッズ一部

 

▲ ベガルタ仙台×『きっこうちゃん』グッズ一部

黒瀬 ) Instagramをみていて、仙台以外のイベントにも出店しているというのをみました。仙台から生まれたキャラクターが日本全国で知られていて、沢山の人に愛されているというのがかっこいいと思いました。

バチコ ) 嬉しいです。(笑)

黒瀬 ) これからコラボレーションしていきたいなと思っている企業などはありますか?

バチコ ) レディースのブランドさんともっとコラボレーションしていきたいですね。 今はMILKFED.さんだけなのでもっとほかのブランドさんとコラボレーションできたらなと思っています。

黒瀬 ) レディースが発売されたら私も購入したいです。(笑)

 

黒瀬 ) 私が衝撃を受けたのは、“カラダ以外は縛られたくない”というキャッチコピーでした。どんな思いがあってこのキャッチコピーは生まれたのですか?

バチコ ) 『きっこうちゃん』って体が縛られてますよね。でも心は縛られてないよっていうのがきっこうちゃんのモットーなんです。何にも縛られないのが一番いいのですが、環境や仕事などに縛られてしまうものなんですよね。でも心は縛られてないよっていう思いが込められています。

黒瀬 ) 私の周りのお洒落な友達は、スマホケースに『きっこうちゃん』を貼っていたりグッズを持っている子が沢山いるんです。なので、その友達にもバチコさんの思いを伝えたいです。(笑)

バチコ ) ありがとうございます。(笑)

黒瀬 ) 今バチコさんがつくりたいグッズはありますか?

バチコ ) 最終的には着ぐるみを作りたいです。ゲリラ的に街に出たいですね。「仙台にやばいのがいる」って言われる感じで(笑)ふなっしー的な感じですかね。 仙台=きっこうちゃんにして、仙台のお土産といて買って頂けるようになれたらいいなと思います。なので仙台発信っていうのは推していきたいですね。

 

黒瀬 ) イベントにも多く出店していると思うのですが、やはり20代の方が多いのですか?

バチコ ) 結構上の方や男性の方もいらっしゃいます。女性だと20代後半とかの方で、意味を知ったうえでいいねって言ってくださる方も多いんです。

黒瀬 ) イベントに出店していると、はじめて『きっこうちゃん』を見る方も多いと思うのですが、お客様の反応で印象に残っているものはありますか?

バチコ ) おばさまに、「可愛いうさちゃんね」って言われて、「きっこうちゃんです」っていったら「きっこうって何?」って聞かれたので説明したんです。そうしたら、「あらやだ~」って言われてグサッときましたね。(笑)

黒瀬 ) すごい直接的な言葉で言われたんですね。(笑)

バチコ ) でも今はいいねって言ってくれている人に囲まれて楽しくやってます。(笑)。
好きなものを続けること

 

黒瀬 ) 今、デザインを学んでいる学生に向けてアドバイスがあれば教えていただきたいです。

バチコ ) とりあえず続けることです。好きな事を続けていけば何とかなります。

黒瀬 ) 作品を作っていく中で、自分がいいと思っても周りからの評価が悪くボツにしてしまう学生が多いと思うのですが、周りからの評価があまり良くなかった時のバチコさんのモチベーションの上げ方は何かありますか?

 

バチコ ) 結局いいものを作りたいと思う、ボツになったとしても、ボツになった理由があると思うので、そこを話し合って、納得できれば取り入れるし、自分のコンセプトを大切にしながらよりよくしていく感じでものつくりをしています。

黒瀬 ) デザインのお仕事で辞めたいと思った事はありますか?

バチコ ) 沢山あります。

黒瀬 ) それでも今も続けられている理由はなんですか?

バチコ ) 最終的に楽しかったり、モノが出来上がった瞬間が嬉しいので、その時にまた頑張ろうと思います。作っている時は苦しいですが。(笑)出来上がったものを見ると頑張ってよかったなと思います。その繰り返しですね。

黒瀬 ) バチコさん自身がデザイナーとして挑戦したい事はありますか?

バチコ ) 地方で頑張る理由を掘っていって、東京に行かずとも、仙台でも面白い仕事ができる導線みたいなものを自分で作れたらなと思います。

黒瀬 ) 東京に行かずとも、仙台など地方でデザイナーをしたいと思う若者が増えればいいなと思います。本日はありがとうございました。

(カメラ担当・稲垣志穂)

profile
バチコさん


宮城県出身
仙台デザイン専門学校卒業後、仙台市内のデザイン会社にてグラフィックデザイナーとして勤務

 

【きっこうちゃんプロフィール】

「カラダ以外は縛られたくない」がモットーのうさぎ

Instagram:@kikkouchan

 きっこうちゃんInstagram

 

【インフォメーション】

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 ARABAKI ROCK FEST.20公式ホームページ
(取材:2019年10月)
interviewer
クロセヨシノ(サブカルヨシノ)

 


出身地:山形県山形市
趣味:買い物、YouTube
東北の好きな所:肉も魚も美味しいところ!!
モットー:やる?やらない?よし、やろう!
ひとこと:寝ても覚めてもここは東北
 

 


<編集後記>

仙台で買い物している時に目を引いた古着屋さんのロゴ。

洋服好きの友人や好きなインフルエンサーがスマートフォンやパソコンに貼っている縛られている白いうさぎのステッカー。

私の身の回りで素敵だと思うデザインを生み出していたバチコさんに取材させて頂きました。デザインに興味がある方、自分の好きなことで仕事をしたい方に是非読んでもらいたい記事です。

大好きな仙台で人との繋がりを大切にしながら楽しくお仕事されているバチコさんから、沢山のエネルギーを貰った取材でした。