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■ 東北ウーマンインタビュー


仙台藩の歴史を次世代へ繋ぐ

仙台藩の歴史を次世代へ繋ぐ
仙台藩作法指南役 池田峯公さんインタビュー

仙台藩作法指南役、また一般社団法人 伊達鳳文会理事長として伊達家の文化や歴史に関わるお仕事を幅広く行なっている池田峯公さん。 沢山の方とお仕事をする池田峯公さんに、お仕事、前向きな考え方、上手な人との付き合い方をお伺いしました。

※1 指南役…仙台藩作法の宗家より許された、最高位の役名

こうなりたいを叶え、そして生きがいに

黒瀬 ) 池田さんはどんなお仕事をされているのですか?
 

池田 )一般社団法人 伊達鳳文会の理事長、また仙台藩指南役(※1)として伊達家の歴史や文化を次の世代に伝えるためのお仕事を伊達家18代ご当主 伊達泰宗様と共に行なっています。伊達家に伝わる礼法である、仙台藩作法の教育普及活動で高校や専門学校、一般市民向けに講義をします。また神社の巫女さんや企業の社員研修でも教えています。 他にも、伊達家当主に関わるイベントの企画、テレビや雑誌などの監修などもしています。

黒瀬 ) では、伊達家の歴史や文化に関わるお仕事はいつからされているのですか?
 

池田 )幼い頃からお作法を習い事で学んでいたのですが、お仕事として考えると、まもなく30年を迎えます。ご縁があり、伊達家の18代ご当主 伊達泰宗様のお母様とお知り合いになれる機会があったことがきっかけですね。

黒瀬 )幼い頃からお作法に馴染みがあったのですね。仙台藩に関わるお仕事のほかに気になっていたお仕事はなかったのですか?

 

池田 ) 仙台藩に関わるお仕事のほかに、宝飾のお仕事のお手伝いをしていたこともありました。ですが、歳を重ねるごとに、今の仕事が大事だと思いましたし、こちらのお仕事が忙しくて辞めてしまいました。次の世代に伝えていくこと、歴史や文化というのは続いていかなくてはいけないものなので、自分もこのお仕事をしながら、大事さに気づいています。 むしろ今の仕事は生きがいに近いですね。
 

黒瀬 ) お仕事が生きがいなんてすごく憧れます。
 

池田 ) 生活のために働いているのが普通だと思います。ですが、私の場合はやりたいことをやっています。それが生活をするための収入に結びついていたら幸せなことですよね。
 

黒瀬 ) そうですね。私も自分の好きなことを仕事にしたいなって思います。
 

池田 ) わかります。でも、なかなか全員はそうできないから与えられた仕事の中から価値を見出そうとしてる人もいるんですよね。本当は好きなことにお金がついてきたら嬉しいことですよね。だから私はすごく幸せなんだなって思います。 昔、大学に入学した頃『Newton』という雑誌で、当時編集長の竹内均さん(東京大学名誉教授)が”自分は地球物理学が大好きで、それを仕事としていることが本当に幸せです。”というのを読んで、当時20歳だった私は「すごいな、こうなりたいな。」と思いました。それで、実際に私もそうなれました。
 

黒瀬 ) なりたいなと思って、本当になってしまうなんてすごく理想です。
 

池田 ) 申し訳ないほどに理想ですよね。(笑)

“自分の好きなことだから”疲れにも幸せを感じる

黒瀬 ) 好きなことをお仕事にしていると、幸せそうだなと思うのですが、辛いことや嫌なことはありますか?

池田 ) 細かいことを言ったら、毎日あります。 でも感覚のレベルが違うというか…。日々の生活というのは、目の前にあるものですよね。寝たり起きたりご飯食べたり、、、疲れている時だってあるし日常で色々行動していたら当然嫌なこともあります。でも全部、“自分の好きなことだから”に変換できるんです。

黒瀬 ) 考え方を変えているのですね。
池田 ) やらなくてはいけないことは、それをするまでの過程が大変だと思います。ずっと一日中幸せ幸せ、、だと頭が爆発しちゃいますよ。(笑) 日々、辛いこと嫌なことがありますが、それも含めて全部幸せなんだなって思ってます。
黒瀬 ) 自分の好きなことをお仕事にしていると考え方もポジティブになっていくのですね。

では、このお仕事の遣り甲斐はどのようなところにありますか?


池田 ) 一番良かったと思うのは、作法を高校などで教えていることですね。高校で授業をしていると、まさに次の世代の人だから、充実していている顔を見ると本当に幸せに感じます。 私は常に一生懸命教えますが、教え子が楽しそうにしていたりする時は、幸せだなって思いますし、疲れも飛びます。

黒瀬 ) 私も高校時代峯公先生のお作法の授業を受けていましたが、本当に楽しかったです。
 

池田 )本当に?(笑)
 

黒瀬 ) 本当です!大学生になって、高校時代作法の授業で勉強したことが身についてるなと思う場面があります。
 

池田 ) そうですよね、だって100時間近くも授業をしましたからね。眠くても座って話を聞いて、下向くなと言われて怒られて試験して。もし細かいことは覚えていなくてもどこかで作法の大事さを考える気持ちが残っていくといいなと思って授業を構成しています。

 

人とうまく関わる方法は「相手の良いところをみる」こと

 

黒瀬 ) 高校でお作法の授業をしたり、ご当主の還暦のお祝いのイベントの企画をしたり様々なことをしていらっしゃるとのことですが、どんな方とお仕事をすることがあるのですか?
 

池田 ) ありとあらゆる業界の方とご一緒にお仕事をしますね。 ご当主と一緒にお仕事をしていると本当に色々な方と一緒にお仕事をする機会があります。 天皇家の方や弁護士、警察、芸能人だって。先週も関ジャニ∞の錦戸君と丸山君とお仕事しました。
 

黒瀬 ) え~~~~!!! ジャニーズはすごいです、、!
 

池田 ) そうそう。だから、人間関係の幅で考えたら本当にいろんな人を知っています。
 

黒瀬 ) 沢山の業種の方とお仕事をしていると、関わり方が難しい方もいると思うのですが、お話しするときに気にかけていることなどはありますか?
 

池田 ) 一つ目は私の性格的に、人を好き嫌いといった感情で判断をしないので、その人がどんな人なのか気にしないんです。 人間だから好き嫌いはあると思います。でも仕事上で付き合うときは、そのような感情は一切持たないで接しています。

 

黒瀬 ) 「この人は仕事関係の人だから」と割り切っているのですね。
 

池田 ) 二つ目は、人と応対するときは相手の良いところをみて、相手はどうしたら喜ぶかを考えています。
 

黒瀬 ) どのようにすれば、出逢ってすぐの人のことが分かるようになるのですか?
 

池田 ) 1つは経験ですね。あとは、相手のためにどうするか、相手を優先して考えるとうまくいきます。自分が嫌だなと思って接しなかったら、自分を優先してるという事ですよね。 嫌でも仕事だからと考えておきます。

元気になれる“本”と人物“を見つけること

 

黒瀬 ) 仕事とプライベートをしっかりと分けているのですね。
 

池田 ) 本当に気にしないんですよね。よく、女性って隣の芝生は青く見えるっていうけど、私はまったく羨ましいと思わないんです。例えば、初対面でも「あの人良いもの持ってる、、。」とか。私はまったく何も感じないんです。
 

黒瀬 ) 私、結構見ちゃう方です。(笑)
 

池田 ) なんで見ちゃうの!
 

黒瀬 ) 生活の中で何か一つでも上手くいかず崩れてしまうと人が羨ましく感じてしまいます。
 

池田 ) 私もずっと元気なわけではないけど、苦しくなったときは普通にしていなくてはいけないんです。

“腹中書あり”悩んだときは、この本を読んだら元気になるっていう1冊を見つけておくんです。あとは、“意中人あり”自分が苦しんだときに、ちゃんと助言してくれる友や、恋人が大切です。どうしても本だけではうまくいけないって時に、あの人に会ったら元気になるっていう人も大事ですね。

 

profile
池田峯公さん
 

<趣味・好きなもの>
料理
<セールスポイント>
常に一歩下がった姿勢でいること
 
(取材:2018年8月)
interviewer
クロセヨシノ(サブカルヨシノ)

 


出身地:山形県山形市
趣味:買い物、YouTube
東北の好きな所:肉も魚も美味しいところ!!
モットー:やる?やらない?よし、やろう!
ひとこと:寝ても覚めてもここは東北
 


<編集後記>
今回取材させて頂いた池田峯公さんは私が高校時代お世話になったお作法の授業の先生です。今までは、“お作法の先生”としか知らなかった池田さんの仕事への価値観や考え方を知ることができました。高校を卒業した今もこうして関わりを持てることがとても嬉しく思いますし、就職活動を控えた今の自分の仕事への考え方の幅が広がりました。 “ご縁”あっての取材だったのでこのご縁を大切にしていきたいと感じました。